浮遊ろっ骨のゆがみが、腰痛を起こすことがあります。
浮遊ろっ骨を調整する施術も合わせて、ご覧ください。
腰痛をぶり返すお客様は、大きなため息をつく
渋谷です。
先日お見えになったお客様は、腰痛で10年お困りでした。
『腰の左側の腰痛がずっと痛くて、時々猛烈に痛くなります』
「整体を受けるのは、初めてですか?」
『いいえ、これまでいろんな所に行きましたけど、すぐ元通りになるんです』
ハアーっと大きなため息をつきながら、お客様はそうおっしゃいました。
腰の違和感が気になるのか、時々上半身をゆすっておられます。
眉間に寄せられた深いシワが、腰痛のツラさを感じさせます。
「そうですか・・・腰痛が気になり始めたのは、いつですか?」
『腰痛が出始めたのは、10年くらい前からです。長男を生んだ年からですね』
「ご長男は、初めてのお子さんですか?」
『ハイ、息子も私の腰のことを心配していて・・・』
腰痛は10年前からか・・・とっくに慢性化してこじれているな。
他にもゆがみが広がっている可能性、大です。
身体が根本的に落ち着くまで、時間がかかります。
腰痛が落ち着かないのも、身体のゆがみが複雑になっているせいかもしれません。
初めてのお子さんの出産後に、腰痛になっているのも、気がかりです。
出産は骨盤が大きく動くので、出産後骨盤がゆがんで腰痛になることは、よくあります。
つまり、この場合骨盤を調えないと、腰痛が楽になりません。
「腰痛の他に、身体で気になることはありますか?強い痛み以外なら、何でも構いません」
『時々、左のわき腹が重い感じになりますが、大したことはありません』
腰痛と同じ左側のわき腹か・・・何か関係があるかも。
その時。
頭の片隅に「腰痛の根本は、ろっ骨のゆがかな」と、ひらめきました。
整体を長年していると、時々パっとひらめきが生じます。
ひらめきがパっと輝き、舞い降りてくる感じなんですけどネ。
こんな時は、ひらめき通りに施術をやった方が、うまくいきます。
この時もそうでした。
浮遊ろっ骨が腰痛にさせるって?
腰痛が、浮遊ろっ骨のゆがみで生じるのは、それほど複雑な話ではありません。
ろっ骨の構造を考えれば、一般の方でもわかると思いますね。
ろっ骨は、左右12本ずつあって、身体前面は胸骨(きょうこつ)に、後面は胸椎(きょうつい)という背骨にくっついています。
その中で「浮遊ろっ骨」と呼ばれるろっ骨があります。
上から11番目と12番目のろっ骨は、前の胸骨にくっついていません。
浮遊ろっ骨は、後ろの背骨にくっついているだけ。
つまり、ゆがみやすいんです。
そして、これらのろっ骨がゆがむと、ろっ骨がくっついている背骨がゆがみます。
11番目と12番目のろっ骨は、背骨の11番目と12番目にくっついています。
背骨の12番目の下から、腰は始まります。
つまり、浮遊ろっ骨は腰の骨すぐ近くに接合している。
浮遊ろっ骨のゆがみが、腰に影響を与えるわけです。
もちろん、腰痛すべての原因がろっ骨のゆがみ、ではありません。
でももし、あなたの腰痛はこんな感じではありませんか?
◆整体や鍼灸、マッサージなど腰を整える施術をいろいろ受けても、腰痛がなかなか楽にならない。
◆施術を受けた直後は腰が楽になるけど、すぐまた痛みが戻ってしまう。
要するに、他に整える必要があるんですね。
それは、例えば浮遊ろっ骨かもしれませんよ。
浮遊ろっ骨を整えるやり方
では、浮遊ろっ骨を整える方法をご説明いたします。
まずは、浮遊ろっ骨の場所。
浮遊ろっ骨がくっついている骨を見つけます。
うつぶせで、骨盤の一番上の盛り上がりを見つけます。
背中に指先を当てて、下におろすと骨盤に当たる場所。
腸骨稜(ちょうこつりょう)と呼ばれる場所です。
では、左右の腸骨稜に横線を引きます(イメージで)
その横線は、腰とクロスします。
クロスした場所は、腰の骨の4番目と5番目の間です。
指先で、腰を上にたどります。
さっきふれた骨の、4つ上の骨が、12番目の背骨です。
11番目と12番目の背骨には、それぞれ浮遊ろっ骨がくっつています。
浮遊ろっ骨を指先で探り、ろっ骨の先まで指先で探ります。
わき腹に、浮遊ろっ骨の端が確認できるでしょう。
浮遊ろっ骨は、絶対強くさわらないで下さい。
ゆがみやすいのでね。
ちなみに。
浮遊ろっ骨の先に、重要なツボがあります。
11番目の浮遊ろっ骨の端は、章門(しょうもん)。
12番目の浮遊ろっ骨の端は、京門(けいもん)です。
章門は脾、京門は腎に影響を与えると言われています。
浮遊ろっ骨がゆがんで、これらのツボに負担がかかると、身体に悪影響が出るのではないでしょうか。
次は、浮遊ろっ骨を整える方法をお伝えします。
最初にゆがんでいる浮遊ろっ骨を見つけます。
といっても、左右で4つのうちのどれか、ですが。
お客様にうつぶせになってもらいます。
上記の方法で、背骨11番目と12番目を探し出し、片手で背骨の中央に触れます。
もう片方の手で、浮遊ろっ骨に触れます。
浮遊ろっ骨は、先端に触れる必要はありません。
浮遊ろっ骨をごく軽く押して、腰やろっ骨に痛みや重苦しさなどの違和感が出る場所を使います。
浮遊ろっ骨に触れた指をごく軽く、上下左右に動かします。
動きはごく小さく、1ミリ程度で十分です。
そして、指先が最も大きく動く方向へろっ骨を動かして、そのままキープ。
1分程度そのままにしていると、ろっ骨に置いた指先の感覚が変わります。
腰や背骨の感覚が変わることもありますが、何も感じなくてもOKです。
これで浮遊ろっ骨が変化しない場合は、何度か繰り返してみてください。
繰り返しますが、くれぐれも浮遊ろっ骨は強い刺激を与えないこと。
うまくいけば、ある種類の腰痛や背中の痛み、ひざ痛等が楽になります。
重苦しい腰痛が、グっと楽になった施術例
最初にあげたお客様の、施術をご紹介いたします。
施術ベッドに寝ていただき、身体を検査します。
腰の左側にゆがみがありました。
骨盤もゆがんでいます。
腰と骨盤を整えると、左ひざのゆがみが浮き出てきました。
左ひざは内側にねじれ、骨盤に負担をかけていました。
左ひざを整えて、最初のチェック。
「では、上半身を起こして、ベッドから降りてください」
「腰を動かしてみてください・・・痛みはどうですか?」
『痛みは少し減りましたが、まだ奥に重苦しい感じがあります』
再度、身体を詳細に調べます。
右手首のねじれを戻し、肩甲骨内側のコリを取りました。
『あ~、さっきより首が楽です。でも、左肩が突っ張る感じがします』
もう一度肩甲骨を整え、首の詰まりを整えました。
ん?左わき腹がずいぶん硬い。
左わき腹を指先で軽く押すと、お客様は「ウッ」と、小さくうめき声をあげました。
右わき腹が時々重苦しい感じがする、とおっしゃっていたのを思い出しました。
「では、うつ伏せになってください」
腸骨稜(ちょうこつりょう)から背骨11番目と12番目を探し出し、浮遊ろっ骨に軽く触れます。
「ここ、イヤですかね?」左の浮遊ろっ骨の中央に指先を乗せ、軽く前後左右に動かします。
『ああ、はい、イヤな感じします』
「イヤな感じが消えたら、教えてくださいね」
数分後。
指先を押し返す感覚がなくなり、浮遊ろっ骨がより自由になった感じがしました。
『先生、イヤな感じなくなりました。もう大丈夫です』
腰と浮遊ろっ骨においた指先を、ゆっくりと離しました。
「もう一度ゆっくり上半身を起こして、ベッドから降りてください」
『先生、腰の痛み減りました。重苦しい感じ、半分くらいです』
私が腰の感じを尋ねる前に、F様が明るい大きな声でおっしゃったのです。
お客様は腰を前後左右に動かし『うん・・・だいぶ楽・・・』とつぶやいていました。
施術後、着替えて清算を済ませたお客様が、おっしゃいました。
『先生、本当にありがとうございました。腰はわりと楽になりましたよ』
「それは良かったですね~。腰の重苦しい感じが続いていたのは、浮遊ろっ骨がゆがんでいたせいでしたよ」
『先生、腰をもっと楽にしたいので、次の予約をお願いします』
お客様はカバンからスマホとスケジュール帳を取り出しながら、おっしゃいました。
『腰が戻らないように、よろしくお願いします』
「了解いたしました。本来のお身体になるように、お身体を整えさせていただきます」
数か月定期的に整体を受ければ、腰痛もぶり返さない身体になるでしょう。
ハーブティを飲み干したお客様は、ニッコリ微笑まれました。
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